【解説】新型コロナ・インフル“同時流行”なら… 発熱外来の受診“制限”? 政府案と「課題」は

【解説】新型コロナ・インフル“同時流行”なら…  発熱外来の受診“制限”?  政府案と「課題」は

13日は11月中旬並みの寒さとなりました。これから冬に向けて新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行した場合、どのように対応すべきなのでしょうか。

「“第8波”とインフルエンザ」
「発熱外来を“制限”?」
「インフルエンザ、どう診断?」

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■ヨーロッパでは“増加”に転じる国が増加 「ワクチン疲れ」などで…
世界的に新型コロナ感染が落ち着きつつある中、ヨーロッパでは増加に転じている国が増えています。

英オックスフォード大が発表する「100万人あたりの感染者数の7日間平均」で、今年夏以降の推移を見ると、日本は8月中旬あたりから大幅に減少していますが、ヨーロッパ諸国、中でもフランス、ドイツ、イタリア、ベルギーなどでは9月下旬ごろから急増に転じています。

しかも、検査数自体は減っている中で感染者数が増えているということで、実際の感染者数はさらに多いとみられます。ロイター通信によると、ヨーロッパで流行が再燃している理由として、「気温の低下」「感染対策の緩和」、それに加え「“新型コロナは終わった”との間違った認識が広がり、追加接種を受けない『ワクチン疲れ』が増えている」といったことが挙げられています。

こうした状況を受けてWHO(=世界保健機関)は12日、ヨーロッパを中心に「感染の新たな波が始まった」と警鐘を鳴らしています。

■新型コロナとインフルエンザ“同時流行”の可能性 政府の対応案は
12日に行われた厚生労働省の専門家の会議では、「ヨーロッパから少し遅れて日本でも同じように流行することは、間違いない」との議論もありました。「日本では新型コロナの“第8波”がインフルエンザの流行よりも先に来る」との強い懸念も示されました。

こうした中、岸田首相は13日、「冬に向けては、新型コロナとインフルエンザの同時流行の可能性が、専門家の皆さま方からも指摘をされております。先手先手で同時流行を想定した対策の準備が必要である、と考えております」と述べ、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えてオンライン診療など保健医療体制の拡充を進める考えを強調しました。

現在、国が議論している案を詳しく確認します。

新型コロナとインフルエンザが同時流行した場合、体調が悪い人はどうすればいいのでしょうか。発熱外来の受診が勧められているのは「65歳以上の高齢者」「小学生以下の子ども」「基礎疾患のある人」「妊婦」など重症化リスクのある人に限定するとしています。第7波の時には、発熱外来に患者が殺到して大混雑となったため、今回は混雑を防いで重症化リスクの高い人の医療体制を確保するという狙いがあります。

今回、子どもがこの対象に入っているのは、新型コロナ、インフルエンザにかかわらず高熱が出ると「脳炎・脳症」のリスクが高まるとされているからです。子どもに高熱が出た場合、速やかな受診につなげたいという狙いがあります。

この対象以外の人が発熱した場合、どうしたらいいのでしょうか。原則として、「新型コロナの検査は自分で行ってほしい」ということです。新型コロナ陽性の場合は、各都道府県に設置されている「健康フォローアップセンター」に登録し、基本的には自宅療養に入るということです。万が一、体調が変化したら、フォローアップセンターが医療機関を紹介してくれるといいます。

一方で、新型コロナ陰性だった場合でも、「インフルエンザなど、ほかの病気かも…」と疑い医師の診察を受けたくなることもあると思います。そのような時でも、すぐ発熱外来に行かずに、最初に身近なかかりつけ医や、オンライン・電話で受診してほしいということです。

それでインフルエンザと診断された場合は、治療薬タミフルなどを薬局から自宅に配送してもらう仕組みも活用できます。

■インフルは“原則”セルフ検査できず… 専門家が指摘する“課題”は
こうした政府案について、感染症・呼吸器疾患が専門の加藤哲朗医師に聞きました。

新型コロナは原則として自分で検査できますが、インフルエンザの“セルフ検査”は原則認められていません。そのため、加藤医師は「オンラインではなく医療機関で検査を受けたいという人が増えた場合、結局、医療のひっ迫の解消につながらないのではないか」と話していました。

そもそも、オンライン診療を導入していない医療機関が多いということです。導入していたとしても、やはりオンラインで可能なことには限界があるといい、例えば、診察しても解熱剤を出すなど対症療法しかできないという場合も多いということです。そうなると、不安解消につながらない可能性もあります。

オンライン診療については、「なかなかつながらない」という声も聞かれます。多くの人が速やかにオンライン診療を受けられるように、体制整備をすることも非常に重要です。

また、厚生労働省の専門家の会議では、出席した委員から同時流行に備えて「新型コロナの抗原検査キット、解熱剤といったものを、今のうちにある程度、購入して発熱に備えた方がいい」との意見が上がっていました。

    ◇

日本では新型コロナ再流行の兆しはまだ見えていませんが、油断していると、インフルエンザの流行が加わることで医療ひっ迫の恐れがないとは言えません。混雑している場所や屋内で会話をする時はマスクを着用するなど、適切な感染対策を心がけましょう。
(2022年10月13日放送「news every.」より)

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