石川県内では新型コロナの「第7波」に入り、1日あたりの新規感染者の数が1000人を超える日が出てくるなど、感染が急拡大しています。
発熱や咳、のどの痛みなど、新型コロナの症状が治まったあとも、患者たちを悩ませるのが、「後遺症」の問題です。
今回、「第6波」の時期などに新型コロナに感染し、その後、後遺症を経験した4人の患者が、北陸朝日放送の取材に応じ、自らの経験を語ってくれました。
その証言からは、後遺症が学校や仕事など、日常生活に深刻な影響を及ぼしているという実態が浮かび上がりました。
富山県に住む高校生の女性。母親と一緒に北陸朝日放送の取材に応じ、自らが経験した、新型コロナの後遺症について話してくれました。
(富山県在住 高校3年生)
「コロナ症状が治まったと思った途端に後遺症らしきものが出てきて、倦怠感が続いて、寝ていたら後ろから引っ張られる感じとか体が思い通りに動かなかった」
母親によると、後遺症が出始めた当時は、ほぼ寝たきりの状態になった日もあったそうです。強い倦怠感により、トイレや食事などの日常生活にも支障が出ました。
新型コロナの感染が判明したのは今年2月。学校に行けるようになったのは、新学期に入ってからでした。
(富山県在住 高校3年生)
「学校に行き始めた当初は座っているだけでつらくて保健室で休んだり、教室にいても座席にうつ伏せになったりしていました。このまま学校を休んだら卒業できるかという不安や、いつになったら元の自分に戻れるのかという不安がありました」
新型コロナの後遺症は、疲労感・倦怠感、咳、息切れ、脱毛、記憶障害、集中力低下、不眠、抑うつ、味覚・嗅覚障害、睡眠障害など、その症状は多岐にわたります。
石川県に住む会社員の40代女性も、強い倦怠感に襲われました。
(石川県在住 40代女性)
「隔離期間が終わって1日は仕事に出られたんですけど、次の日、仕事に行こうとしたら、もう体がだるくて動かなくて、このままでは仕事が難しいなと思って急遽、お休みをいただきました」
後遺症外来がある加賀市山代温泉のながたクリニックを受診し、無理をして仕事に出ないようアドバイスを受けました。勤め先の会社からは1カ月ほどの休みをもらい、仕事に復帰した後も時短勤務などの配慮をしてもらい、徐々に回復に向かっています。
一方、石川県在住の30代女性は、メールで回答し、自らの後遺症について伝えてくれました。
「強い倦怠感と強い頭痛が一番辛かったです。寝て起き上がれない日もあって、思うように過ごせない日が続きました。また、頭を悩まされたのが、例えば、1日3回服用しなければならない薬を飲んだか、飲んでいないかという記憶があいまいだったりとか、子どもの簡単な宿題も理解するまで時間がかかったりと、過ごしづらい日々が続き、悩みました」
石川県内に住む別の30代女性は、今年1月に新型コロナへの感染が判明。その後、回復し、日常生活を取り戻しましたが、5月のゴールデンウイーク前後になって突然、後遺症が現れました。
(石川県在住 30代女性)
「本当に頭が真っ白というか、頭で思う行動と言葉がつながらないという感じで、仕事が目の前にあるのに、ぼーっとしてしまう」
女性は2、3週間ほど、会社を休みました。今は、たまに頭痛を感じることもありますが、会社にも復帰し、日常生活を取り戻しています。
後遺症外来を設置し、数多くの患者を診てきたながたクリニックの永田理希院長。新型コロナの後遺症を持つ患者は、学校や職場など、周囲の人に理解されず、悩んでいるケースが多くあると話します。
(ながたクリニック・永田理希院長)
「学校、会社も含めて、家庭の中でも、理解を得られないということが一番のネックになっている。基本的に、つらい、だるい、しんどいということに対して、理解が得られないで、なんか精神的な問題じゃないかとか、気のせいじゃないかとか、甘えじゃないかみたいな、ラベルを落とし込まれてしまう。周囲に後遺症で悩んでいる方が多くないと、理解が得られないから、どう扱っていいかがわからないという職場や学校の現状があるのかもしれないですけど、サポートしあうということも大事なのかなと考えています」
この日、ながたクリニックを訪れたのは、北陸朝日放送の取材に応じてくれた富山県在住の高校生とその母親。少し無理をして学校に行ったあと、症状が悪化したことを報告しました。
鼻の奥に炎症があるかを内視鏡で確かめ、新たな治療を試みることにしました。
新型コロナの後遺症を経験し、取材に応じてくれた4人の女性。いま、伝えたいことを聞きました。
(富山県在住 高校3年生)
「新型コロナへの感染や後遺症について自分は大丈夫と心のどこかで思っている人がほとんどだと思うので、感染4カ月が経った今も、苦しんでいます。感染症を予防することは後遺症に苦しむよりいいと思うので、感染症予防を続けてほしいと思います」
(石川県在住 30代女性)
「後遺症は特別なことではないし、我慢せず、1人で抱え込まずに、誰かに頼ったり、甘えたりしてほしい。近くにかかった人がいる場合は、無理せずに、と一言、労わってほしいと思います。それだでけ後遺症や治療に向き合えるような気がします」…